二つの固体反応の電子顕微鏡による観察

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固体反応の機構は気相または液相反応の機構とは均一性の上で非常に異っていて, 均一反応における通常の理論では説明できないにもかかわらず, 多くは反応の不均一な機構を実証することなしに, これを説明しようとしている. これでは誤ちにおちいる恐れがあり, 固体反応の説明には先ず機構の実証が第一である. この目的の一助として高温電子顕微鏡により二つの固体反応の機構の観察を試みた.外形で確認できるブルーサイトと酸化第二鉄を電子顕微鏡の視野に共存させ加熱した. 400℃の高真空下で酸化第二鉄は還元されて酸化第一鉄となり結晶成長をおこした. ブルーサイトは同じ条件で外形を保ったまま脱水してペリクレースクリスタライトの集合体となった. 700℃では酸化第一鉄に接するが約1μ以内にあるペリクレースクリスタライトは酸化第一鉄を固溶して格子定数の増大と結晶成長とをおこしたが, それ以上離れたペリクレースクリスタライトではこのような現象がおきなかった.外形で確認できるブルーサイトとベーマイトを電子顕微鏡の視野に共存させ高真空下の電子衝撃で加熱した. 両水和物は先ず外形を保ったまま脱水して無水酸化物クリスタライトとなったのち, 1500℃の加熱ではAl2O3クリスタライトに接するか約3μ以内にあるMgOクリスタライトはAl2O3クリスタライト集合体に向って蒸発に似た現象をおこして消滅して行くが, それ以上離れたものにはこの現象が認められなかった. MgOと反応してAl2O3はδ-Al2O3の電子線回折像が認められた.
社団法人日本セラミックス協会の論文
1966-06-01

二つの固体反応の電子顕微鏡による観察

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