固体産業廃棄物を利用した活性炭分散セラミックス多孔体の作製と特性評価

概要

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現在日本では,一年間に総量約4億トンの産業廃棄物(ISW)が排出されている.これらの排出に伴い,最終処分場の枯渇,二酸化炭素や有害ガスの排出による大気汚染,更に重金属や有害有機化合物の溶出のようなさまざまな環境問題が引き起こされており,これらの問題の早期解決と循環型社会の確立が望まれている.しかしながら,循環型社会が構築されるまで,ISWは日々排出され続けるので,これらを効率よく,経済的かつ安全に処理するための技術開発は,緊急な課題の一つである.日本国内で排出されるISWの内,その約半分を占める汚泥は,減量化処理をされるものの約5000万トンが最終的に埋立処理されている.国土の狭い我が国で大きな社会問題となっている最終処分場の枯渇問題を解決するためには,この汚泥の再利用率の向上が必須である.これまでに,汚泥,焼却灰や飛灰などの無機系のISWをセメント,路盤材,ゼオライトや多孔性吸着材などの材料として再利用するための研究が行われている.一方,ISWとして排出されるほとんどの有機系廃棄物は,各種の焼却炉により処理されているが,そのほとんどは比較的低い温度で処理されるため,ダイオキシン類や地球温暖化ガスなどの排出が大きな問題となっている.これらの問題を解決するために,有機系ISWの堆肥化や活性炭への転換に関する研究が試みられているが,その多くの再利用法やリサイクル技術は,採算性が悪い,エネルギーコストが高いなどの問題を抱えており,工業的に実用化される例は少ない.著者らはこれまでに,無機系ISWであるスラッジと有機系ISWであるおが粉を原料として,粘結材であるベントナイトを水とともに混練・成形後,バーナー炉により急速焼成することにより,炭素-セラミックス多孔性(carbon-cermics porous: CCP)材料を作製できることを報告してきた.その結果,CCP材料が陽イオン性色素の一つであり日本工業規格の活性炭試験法で用いられるメチレンブルー(methylene blue: MB)に対して吸着性能をもつことを明らかにした.しかしながら,このようにして作製したCCP吸着材料のMB吸着能は,粘結材として加えた粘土鉱物に由来するものであり,原料として用いたISWの吸着への寄与は非常に低いことが分かった.そこで,本論文では,CCP材料の吸着能の向上を目指し,有機系ISWとして用いたおが粉の吸着能を活性炭と同程度まで向上させた活性炭-セラミックス多孔性(activated carbon-ceramics porous: ACCP)材料を作製し,その評価を行った.
2003-11-01

固体産業廃棄物を利用した活性炭分散セラミックス多孔体の作製と特性評価

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