イットリアの緻密化に及ぼす前駆体合成時における硫酸イオン添加の影響

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イットリアは立方晶系であり,六方晶で光学的異方性をもつアルミナとは違い,複屈折がないため,焼結体でも単結晶に近い透明度を得ることができる.また,耐熱性や耐食性に優れていること等から,HIDランプ発光管材料やレーザー材料,耐熱性窓材等への利用が期待されている.透明イットリアの製造に関する研究は,過去にさまざまな報告がなされている.例えばLefeverとMatskoは,3〜5mass%のLiFを添加して,真空中でホットプレスする方法で高い透光性を示す焼結体を得ている.この他にも,GreskovichとWoodsの10mol%のThO_2を添加して水素中2000〜2150℃で焼結する方法や,TsukudaとMutaによるイットリアのみを2270℃で真空焼結する方法等がある.しかしながら,これらは高い焼成温度や,添加物の利用,ホットプレスやHIP等の加圧焼結を必要とする.そのため,コストが高くなったり,焼結体の形状に制約を受けたりし,また添加物により性質が低下するなど,工業化の上でさまざまな問題があった.通常の焼結法で,より低温で透明焼結体を得るためには,焼結性に優れた粉末の合成が必要である.その合成プロセスに関してさまざまな検討がなされ,その中で,Ikegamiらは水酸化イットリウムの低温合成により,薄片状粒子がカードハウス状に凝集したかさ高い沈殿を生成し,これに硫酸イオンを添加して仮焼する方法で,優れた焼結性を有するイットリア粉末が得られることを報告している.しかし前駆体の合成条件等で明らかになっていない部分があり,工業化のためにはそれらをより明確にする必要がある.本研究は,硫酸イオンの添加量とイットリア焼結体の透明度の関係について検討した.
社団法人日本セラミックス協会の論文
2003-09-01

イットリアの緻密化に及ぼす前駆体合成時における硫酸イオン添加の影響

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