尿中ゴナドトロピン抽出とLH定量に関する研究
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概要
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婦人性機能の生理的又は病的な状態を内分泌学的に解明するために重要な尿中ゴナドトロピン(以下Gと略す)の新しい実用的抽出法を検討し, 次いで生理的, 病的状態における尿中LHをラット卵巣アスコルビン酸減少法によつて定量し次の結果を得た.1.尿中Gの抽出についてAlbert新法の福島変法を検討したが, 回収率が低く定量に不適当なことを認めたので種々の改良を加え, routineの定量に使用し得る五十嵐・海老原・石川法を確立した.2.尿中G抑制因子についての検討では少なくとも五十嵐・海老原・石川法による限りこの因子は抽出されないことを認めた.3.正常月経周期中のLHの変動を6名8周期について測定したが, 排卵に一致したピークを全例に認めた.4.小児, 思春期の尿中LHは従来の文献と異なり2才からかなり高値を示し, 4〜5才で更に上昇, 6〜11才で一時低下し, 以後初潮迄上昇した.5.更年期, 閉経後においては高値を示し特に閉経後は正常月経周期の排卵期に相当する高値を示した.6.去勢婦人の1例では, 術後20日より急激に上昇し, 一度減少したが55日頃より高いレベルに達した.7.無月経, 無排卵性卵巣機能不全症におけるLHは, 分泌低下群, 分泌正常群の他に, 分泌異常亢進という病態のあることを認め, 同時に測定したFSHの値との組合わせから6型に分類できることを明らかにした.8.環境性月経異常においては, 無排卵群でLH低値がみられた.9.機能性子宮出血について, 五十嵐のCAP分類により分類し, A_1, A_2, A_3群でLHの異常高値を認めた.10.排卵障害の患者にプレマリン20mgを静注し, LHが増加する例としない例とがあることを認めた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-03-01
著者
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