未熟児の頭蓋内出血発症に及ぼす産科的要因とその出生前診断に関する研究
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概要
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院内出生児627例の検討を試み、25例が超音波断層装置やCTにより、頭蓋内出血(ICH)と診断されたが、妊娠32週以降でかつ1,500グラム以上の児には、1例の発症も認められなかつた。そこで早産未熟児でのICH発症の臨床像を明らかにする目的で、妊娠32週未満又は、1,500グラム未満の院内出生児98例を対象として、産科側よりみた分娩周辺での評価を、胎児心拍数図(CTG)を含めて行なつた。ICH発症率は1,500グラム未満83例中20例(24.1%)、32週未満81例中23例(28.4%)で、まとめて98例中25例(25.5%)となった。Papile et al. の分類では、I-11例、II-6例、III-3例、IV-1例で硬膜下出血等のIVH以外のICHは4例であった。ICH群では頚管無力症が有意に多く(p<0.05)、胎盤所見で、早剥や感染、梗塞が多い傾向を認め、また在胎期間が短く、児体重が小さい傾向も認めたが、有意差は無かった。一方、母体年齢、経妊経産回数、前期破水、胎位、分娩様式、前置胎盤、中毒症及び児の性にも有意差を認めなかった。また分娩直前30分間のCTG所見を、Krebs et al. の5項目から成るスコアリングで検討した結果、variability(oscillatoryamplitude、oscillatoryfrequency)は有意にICH群で低得点で(各々p〈0.001、p<0.01)、またbaselineheartrate、acceleration、decelerationの項目も低得点であり、従って5項目を合計したFHRスコアもICH群で、有意に低かった(p<0.01)。以上の成績からICHの出生前診断の可能性を、FHRスコア5項目、出生児体重、在胎日数の計7項目を説明変数とする判別方程式〔Numerical formula〕で求めた。0.1%以下の危険率で判別可能であり、intemalcheckでの正診率は81.3%であった。このことは、出生児体重を、胎児計測による推定児体重に置き換えれば、早産未熟児におけるICH発症の可能性を、出生前に予測し得ることを示唆し、児のintactsuwiva1を目標とする点、有用で、今後の検討が待たれる。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-04-01
著者
-
今井 史郎
大阪府立母子医療センター
-
竹村 喬
大阪府立母子保健総合医療センター
-
吉本 泰弘
大手前病院
-
吉本 泰弘
大阪府立母子保健総合医療セγター周産期1部
-
久 靖男
大阪府立母子保健総合医療センター周産期第1部
-
入江 真行
大阪府立母子保健総合医療センター企画調査部
-
入江 真行
大阪府立母子保健総合医療センター企画調査
-
今井 史郎
愛染橋病院
-
古山 将康
大阪府立母子保健総合医療セγター周産期1部
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