ヒト顆粒膜細胞の構造と機能に関する電子顕微鏡的研究 : 微細構造と3β-hydroxysteroid dehydrogenase (3β-HSD)活性の局在について
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概要
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ヒト顆粒膜細胞の分化とステロイド分泌能を追求するため,原始卵胞,二次卵胞,成熟卵胞,排卵直後の卵胞の各顆粒膜細胞を微細構造レベルで観察し,ステロイド合成に不可欠な酵素である3β-hydroxysteroid dehydrogenase(3β-HSD)の活性の局在について細胞化学的に検討し,以下の成績を得た.1)原始卵胞では,卵胞上皮細胞(顆粒膜細胞)は,細長い核,未発達な粗面小胞体,層板状クリスタの桿状ミトコンドリア,ゴルジ装置,遊離のリボゾーム,microfilamentがみられ,一部では,すでに脂肪滴を有していた.2)二次卵胞の顆粒膜細胞では,核は円形ないし楕円形で,細胞質には脂肪滴を有し,粗面小胞体は軽度に発達し,層板状あるいは管状クリスタのミトコンドリア,ゴルジ装置,豊富なmicrofilament,明瞭なデスモゾームがみられ,しばしば細胞分裂像が認められた.3)成熟卵胞になると顆粒膜細胞は,脂肪滴,層板状あるいは管状クリスタの混在するミトコンドリア,発達した粗面小胞体および滑面小胞体,ゴルジ装置,遊離のリボゾームを有し,主としてステロイド分泌細胞への移行型細胞が出現するのが認められた.4)排卵直後の顆粒膜細胞では,脂肪滴が増加し,管状クリスタの円形ミトコンドリア,滑面小胞体,発達したゴルジ装置,およびライソゾームをもつ典型的なステロイド分泌形態を示していた.5)3β-HSD活性は,排卵前の移行型の穎粒膜細胞,排卵直後の穎粒膜細胞の両者において,ミトコンドリアの層板状,管状クリスタ,および内膜,滑面小胞体に認められた.以上の成績から,ヒト穎粒膜細胞は,成熟卵胞における移行型細胞の存在と,3β-HSD活性の局在から,排卵前よりすでにステロイド分泌能を有し,排卵直後,急速にステロイド分泌細胞へと分化していくことが確認された.
- 1985-06-01
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