自然流産を反復する夫婦における細胞遺伝学的研究
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概要
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2回以上の自然流産の既往をもつ509組の夫婦について染色体分析を行い, 以下の結果を得た. 1) 26例の染色体異常が発見され, 個体当たりの頻度は2.6%である. この頻度は一般成人集団における頻度0.4%と比較すると6ないし7倍に相当する. 2) 染色体異常の内訳は, 均衡型相互転座保因者10例, 均衡型ロバートソン転座保因者10例, 性染色体異常6例で, いずれの症例も表現型に異常は認めなかつた. 3) 染色体異常は妻19例, 夫7例に発見され, 女性に頻度が高い. 4) 分染法の導入により, 染色体異常, なかでも相互転座の検出率が上昇する. 5) 均衡型転座保因者4例の延べ5回の妊娠において羊水穿刺による染色体分析を行い, 正常核型2例, 均衡型転座3例が確認された. 以上の結果より, 一般集団に比べ, 流産を反復する夫婦には染色体異常の頻度が高いことが確認された. 流産の原因を検索する手段の一つとして, 両親の染色体分析の必要性が示唆される.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-09-01
著者
-
前田 徹
北里大看護学部
-
大野 道子
北里大学病院臨床検査部
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前田 徹
北里大学病院臨床検査部
-
矢部 典子
北里大学病院臨床検査部
-
吉原 京子
北里大学病院産婦人科
-
松信 晶
相模原協同病院
-
大野 道子
北里大染色体検査室
-
舩渡 朋子
北里大学病院臨床検査部染色体検査室
-
松信 晶
北里大学医学部産婦人科学教室
-
吉原 京子
北里大学医学部産婦人科学教室
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