Cisplatin腎障害に対するurinastatinの予防効果 : 臨床面における検討
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概要
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卵巣癌患者に対してCisplatin (以下CDDPと略す)を主体とした癌化学療法(主にCDDP, Adriamycin, Cyclophosphamideの三剤併用化学療法, 以下PAC療法と略す)を実施し, urinastatin (以下USと略す)がCDDPによる腎障害防止に有効かどうか検討した. CDDPを主体とした化学療法を行った婦人科悪性腫瘍患者22例について検討し, 対象はUSを使用した12例で, その対照としてUS非使用10例について両群の腎障害の程度を比較した. 1コースのPAC療法で使用した抗癌剤の量はCDDP 50mg/m^2, ADM 50mg/m^2, CPM 500mg/m^2を原則とした. USの使用方法はCDDP投与前にUS100,000単位を, CDDP投与後にはUS400,000単位を100,000〜200,000単位/時間の速さで点滴静注した. 総輸液量は約3,500mlで1回のPAC療法にかかる時間は7から14時間であった. なお, USを使用しなかった症例は本regimenからUSを除いて点滴を行った. 腎障害の指標として血中BUN, Creatinine(Cr), Creatinine clearance(Ccr)値および尿中N-acetyl-β-glucosaminidase活性(NAG), 尿中γ-glutamyl transpeptidase活性(γ-GTP), および尿中arylamidase活性(AA)を原則として治療前日, 投与後1, 2, 3, 7, 14および21日目に測定した. 血中BUN, CrおよびCcr値の変化はUS使用群と非使用群の両群においてCDDP投与に伴う有意な変動は認めなかった. 一方, 尿中γ-GTP, AA, NAG活性はUS使用群では経日的変化はほとんど認められなかったが, US非使用群ではいずれも一過性に上昇を示し, CDDP投与後1, 2, 3, 7, 14および21日目の尿中NAG活性は535±169, 437±153, 164±135, 198±152, 110±57, 142±84%を示した. 以上より, USはCDDPによる腎障害抑制に極めて有効な薬剤であり, chemical nephrotoxicityをも防止し得ることが臨床的に証明された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-12-01
著者
-
前田 真
国立病院機構三重中央医療センター
-
石塚 英司
掛川市立総合病院産婦人科
-
寺尾 俊彦
日本産婦人科医会日本産婦人科医会
-
前田 真
浜松医科大学産科婦人科学教室
-
小林 浩
浜松医科大学第一内科産婦人科
-
寺尾 俊彦
浜松医科大学第一内科産婦人科
-
川島 吉良
浜松医科大学長
-
小林 浩
浜松医科大学 産婦人科
-
出向 洋人
国立東静病院産婦人科
-
小林 隆夫
浜松医科大学産婦人科
-
大井 豪一
浜松医科大学産婦人科
-
茂庭 将彦
浜松医大
-
平嶋 泰之
浜松医科大学産科婦人科学教室
-
寺尾 俊彦
浜松医科大学
-
石塚 英司
浜松医科大学産科婦人科学教室
-
出向 洋人
浜松医科大学産科婦人科学教室
-
茂庭 将彦
浜松医科大学産科婦人科学教室
-
茂庭 将彦
浜松医科大学 産婦人科
-
大井 豪一
浜松医科大学 産婦人科
-
小林 隆夫
浜松医科大学 産婦人科
-
前田 真
浜松医大
-
平島 泰之
浜松医科大学産婦人科
-
川島 吉良
浜松医科大学産婦人科学教室
-
前田 真
浜松医科大学産婦人科学教室
-
小林 隆夫
浜松医科大学
-
川島 吉良
浜松医科大学産婦人科
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