ヒト絨毛膜細胞におけるグリコサミノグリカンおよびコラーゲン代謝におよぼすHuman recombinant Interleukin-1αの影響
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概要
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前期破水と絨毛羊膜炎との関連性を解明するため, 遊走白血球と絨毛膜結合組織代謝とに着目しヒト絨毛膜細胞のグリコサミノグリカン(GAG)およびコラーゲン代謝におよぼすHuman recombinant Interleukin-1α(hrIL-1)の影響を検討し, 次の結果を得た. 1.〔^3H〕glucosamineを用いてGAG生合成を検討すると, 絨毛膜細胞はインキュベーション時間に比例し活発にGAGを生合成し, かつ速やかにmedium中に分泌した. 24時間後では, その約75%がmedium分画中に分泌され, その約75%以上が分子量1×10^6以上の高分子ヒアルロン酸であった. 2. hrIL-1は濃度依存的に, ヒアルロン酸の生合成と細胞外分泌を顕著に促進したがその分子量には影響を与えなかった. しかし, 硫酸化GAGの生合成にはほとんど影響せず, 結果的にその濃度は著しく減少した. 3. [^3H] prolineを用いて, 絨毛膜細胞におけるコラーゲン生合成を検討すると, インキュベーション時間に比例して増加し, 12時間後では約75%がmedium分画に分泌された. しかしhrIL-1は絨毛膜細胞でのコラーゲンおよび非コラーゲン性タンパク質生合成には影響を与えなかった. 4. hrIL-1は細胞増殖には影響をおよばすことなく, 絨毛膜細胞におけるコラゲナーゼ産生を濃度依存的に有意に促進した. 以上, IL-1は絨毛膜細胞でコラーゲン分解系を促進するとともに, コラーゲンと相互作用を有する硫酸化GAGの濃度低下とヒアルロン酸の増加を促進した. これらの結果は既報の前期破水時に卵膜の伸展性が減少する現象とよく対応しており, さらに絨毛羊膜炎に伴い遊走した白血球に由来するIL-1が, 卵膜の破綻に重要な役割を演じていることを示唆する.
- 1989-12-01