妊産婦血中ステロイド動態に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
妊娠初期から分娩時に至るまでの各時期の妊婦末梢血および膀帯動静脈血からエストロゲン合成過程に存在する主要な中間代謝ステロイドを測定し、濃度変化の意義を検討した。測定したステロイドはdehydroepiandrosterone-sulfate(DHA-S)、16α-hydroxydehydroepiandrosterone-sulfate(16α-OH・DHA・S)、estrone(E_1)、estradiol(E_2)、estriol(E_3)、16α-hydroxyestrone(16α-OH-E_1)、16α-hydroxyandrostenedione(16α-OH-A)、16α-hydroxydehydroepiandrosterone(16α-OH-DHA)、dehydroepiandrosterone(DHA)、androstenedione(A)、testosterone(T)の11種類である。抱合型(DHA-S、16α-OH-DHA-S)はサルファターゼ水解酵素で遊離型とした後radioimmunoassay(RIA)法で測定し、遊離型(E_1、E_2、E_3、16αOH-E_1、16α-OH-A、16α-OH-DHA、DHA、T、A)は高速液体グロマトグラフィー(HPLC)で各ステロイド部分を分離採取した後にそれぞれのRIA法で測定した。1)エストロゲン(E_1、E_2、E_3、16α-OH-E_1)は妊娠末期まで増加した。2)アンドロゲン(16α-OH-A、16α-OH-DHA、DHA、T、A)は妊娠36週まで増加したが、37週以降低下する傾向がみられた。3)分娩時母体血では同時期の陣痛発来前母体血と比較すると、有意に低下がみられたのはTだけで他のステロイドはほとんど上昇した。以上より妊娠末期に各ステロイドが陣痛発来時期と相前後して変化することがわかり、陣痛発来と何らかの因果関係を持つことが示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-07-01
著者
関連論文
- 67. 高速液体クロマトグラフィーとRIAによる妊婦血中16αOH-Δ^4-androstenedione及び16α-estrone濃度の動向について : 第12群 妊娠・分娩・産褥 IV
- 278. 妊娠時の血中16α OH-Δ^4-Androstenedioneと関連ステロイド濃度の動向について : 第46群 内分泌 X (275〜279)
- 391. Subrenal Capsule Assay法による卵巣悪性腫瘍の制癌剤感受性試験
- 妊産婦血中ステロイド動態に関する研究
- 220.胎児心拍陣痛図からみた胎児未熟性の検討 : 第37群 胎児・新生児 VI (216〜222)
- 分娩時の変動一過性徐脈の安全限界に関する研究
- 高速液体クロマトグラフィーとradioimmunoassayを用いた妊婦血中16α-hydroxyandrost-4-ene-3, 17-dioneの測定に関する研究