自覚胎動数を利用した胎児管理に関する研究
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概要
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自覚胎動の臨床的意義を究明したいと考え,まず,自覚胎動に関する基礎的検討を打つたのち,418例の妊婦に,妊娠24週から分娩までの間,自覚胎動数を記録してもらった.自覚胎動数は,1日のうち,午前,午後,夜に1時間ずつ合計3時間数え,その合計をfetalmovements count(以後FMC)とした.また,妊娠経過中にFMCが最大値を示した時点の前後1週間,合計2週間のFMCの平均値よりも,分娩前2〜7日間のFMCの平均値がどれだけ減少したかを求めこれをFMCの減少率とした.このFMCの減少率を分娩時の児のoutcomeがgoodであった307例とpoorであった77例との聞で比較検討した.得られた主た結果は,次のごとくである.1.USGで観察される胎動の85%を妊婦は自覚していた.2.自覚胎動数は,一般に夕方から夜にかけて増加するという日内変動を示した.3.FMCは,妊娠32週に最大値を示すが,その後は漸減することが多かった.また,正常例のFMCは,妊娠40週では妊娠32週の54%(平均値)まで減少していた.4.FMCの減少率はpoor outcome群でgood outcome群に比べて有意に高率を示しており,FMCの減少率が70%以上の例では,48.8%がpoor outcome例であり,逆に70%未満の例でのpoor outcome例は,5.5%だけであった.また,FMCの減少率70%以上を異常域と制定すると,false negativeは19.5%,false positiveは21.2%を示した.5.FMCの減少率とnon-stress testとの関連をみると,reactiveよりもnon-reactiveの場合にFMCの減少率が70%以上を示す例が多く,non-stress test non-reactiveかつFMCの減少率70%以上の16例中13例はpoor outcome例であった.以上の結果から,自覚胎動数を記録し,その減少率に留意することは,胎児予後の判定に役立ち,胎児管理上有用と思われた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-10-01
著者
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