Ion-sensitive Field-effect Transistor pH and PCO_2 Sensorsによる胎児生化学的監視法の基礎的実験的研究
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概要
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新しく開発されたイオン感応性電界効果トランジスタを用いたカテーテル型pHおよびPCO_2セソサを,in vitroおよびin vivoの基礎実験を行ったのち,妊娠120日前後のヤギ12匹の母仔血管内または組織内に挿入して,母仔のpHおよびPCO_2変化を母体平均動脈圧,胎仔心拍数,胎仔経皮PO_2の変化などとともにペンギャップ補正回路つき多ペンレコーダに連続記録して以下の知見を得た.(1)安定した状態で基準値を得たのち,母体に100%O_2を吸入させると,他のparameterはほとんど変化しなかったが,胎仔経皮PO_2値は平均21mmHgより29mmHgに増加した.(2)母体に種々の濃度のCO_2を吸入させると母体血PCO_2値は直ちに上昇を始め,ほぼFiCO_2に近い値を示し,CO_2吸入停止後も比較的速かに基準値に復帰したが,胎仔血PCO_2値は徐々に増加して,母体CO_2吸入停止後も容易に減少せず,高濃度のCO_2を段階的かつ断続的に母体に吸入させると,次第に胎仔にCO_2が蓄積されることが観察された.また胎仔経皮PO_2値は母体に10%CO_2-90%O_2または20%CO_2-80%O_2を吸入させると50mmHg以上に達し,母体の100%O_2吸入時よりも高値を示した.(3)母体のCO_2吸入による胎仔呼吸性acidosisや母体乳酸投与による胎仔代謝性acidosisの場合,胎仔のoxygenationが障害されない限り胎仔心拍数はほとんど変化せず,胎仔心拍数はpHよりもPO_2依存性であることが判明した.(4)母体に対しNaHCO_3を比較的急速に静注すると,母仔血PCO_2値が増加し,胎仔PO_2値および心拍数が減少して,胎仔pH値も下降した.(5)母体にnor-epinephrineを静注すると,胎仔PO_2および心拍数が減少して,胎仔PCO_2値が徐々に増加し,胎仔pH値は徐々に下降した.以上の結果,このようなpHおよびPCO_2センサは周産期母児(仔)呼吸生理学研究に有用であるばかりでなく,将来臨床上でも母体および胎児の生化学的監視に応用可能であることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-11-01
著者
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