超音波の着床前胚に対する影響に関する研究
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概要
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超音波照射の着床前胚に対する影響とその作用機序及び照射強度の安全域を確認することを目的とし, 着床前胚に対して連続波・パルス波照射実験及び温熱実験を施行した.着床前胚は交配後4日のlate morula及至 early blastocystを対象とし, in vitroで密封培養することにより超音波ビームの中心軸上に確実に位置させた音響強度・照射時間・環境温度を種々に設定して実験を行ない, 影響の違いを検討した.超音波照射により着床前胚の形態異常が有意に増加した群は, 平均3.0W/cm^2連続波60分間照射群, 平均0.65, 1.0及び1.8W/cm^2連続波720分間照射群であつた.パルス波照射群に於ては, SaTa0.6W/cm^2 720分間照射群でも異常の有意な増加は観察されなかつた.超音波照射により着床煎胚の発育ステージが有意に遅延した群は, 平均2.0及び3.0W/cm^2連続波60分間照射群, 平均0.65, 1, 0及び1.8W/cm^2連続波720分間照射群であつた.超音波照射により中心軸上に位置させたサーミスタゾンデの示度は上昇した.加温のみによる着床前胚の変化は, 同程度に培養液の温度を上昇させる音響強度の超音波照射群の変化よりも少し程度が軽い傾向を示したが, 有意の差違とは言えなかつた.さらに低温下での平均3.0W/cm^2連続波60分間照射群では, 有意な形態異常の増加や発育遅延は認められなかつた.これらの結果より本研究に於ける超音波強度では, 熱作用が着床前胚に対する最大の超音波作用であると考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-07-01
著者
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