胎盤附着部位の臨床的意義および子宮収縮による胎盤体積の変化について
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概要
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1. 妊娠後期の妊婦321名を対象として,超音波断層法にて胎盤附着部位を検索し,胎児の胎位・胎向・在胎日数・分娩時間・臍帯巻絡の有無などとの関係について検討し,次の様な結果を得た.(1)胎盤附着部位は,子宮後壁附着が最も多く139例(43.3%),ついで前壁附着97例(30.2%),右側壁附着55例(17.1%),左側壁附着30例(9.4%)であった.(2) 胎盤が右側壁附着の例は55例中54例が第I胎内,左側壁附着の例は30例中29例が第II胎向で,子宮側壁附着例では胎盤と胎児とは向かいあって位置していた.子宮前壁ないし後壁から一部側壁附着例においても,胎盤と胎児とが向かいあっていたものは83例中70例(84%)であった.胎盤が前壁又は後壁の中央附着の場合には,第I胎内と第II胎向の頻度に差はなくはぼ同数であった.(3) 在胎日数の平均値は,初産279.3目,経産278.1目で,経産では右側壁附着群の在胎日数が前壁と左側壁にくらべて有意に短かかった(p<0.05).(4)胎盤附着部位と分娩時間・児体重・胎盤重量・分娩時出血量・臍帯巻絡の有無とは関係がなかった.(5)卵管角附着胎盤群では骨盤位が多かった(X_o^2=78.18).2.子宮前壁附着胎盤例にて,分娩第I期後半の子宮収縮時と間歇時の胎盤体積の変化を計測して,次のような結果を得た.(1)子宮内圧30mmHgの収縮では間歇時の胎盤体積と差はなく,子宮内圧が50mmHgの収縮になると間歇時に比べ最小5cm^3,最大58cm^3,平均30cm^3胎盤体積が減少した.(2)間歇時の胎盤内血液量は最小101cm^3,最大280cm^3,平均177cm^3で,胎盤重量との相関係数はr=+0.85で,胎盤重量が大きくなるほど胎盤内血液量も多くなった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-07-01
著者
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