正常初期妊娠超音波断層像め解析(特に所謂G.Sについて)
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概要
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妊娠初期の超音波断層像を正しく判読するため,妊娠初期に子宮摘出術を行たった22例につき,術前の超音波断層像と術後の摘出子宮の-20℃凍結大割切断面とを対比し検討した。この結果を参考にして妊娠第5週より第13週までの正常妊娠経過195例の階調性超音波断層像を解析し,次の結果を得た.1.Gestational Sac(G.S)の構造についてG.Sは妊娠第5週より高輝度の円形又は楕円彩としてみられ始め,第8週では一側に輝度の高い厚みのある.所謂whitebandを形成しその対側は二層構造を呈する様になる.whitebandは将来胎盤となるchorionfrondosumとdecidua basalisの接着したもので、週数の進むに従って出現頻度が増し,第9週では過半数(61.3%)に判読され,第10週では所謂thick white bandとなり,より判読が容易になり,第11週では1OO%に判読された.第13週以後では妊娠後期の胎盤像と同様の溺慢性点状像(所謂fine grained echo pattern)となる.一方,二層構造は妊娠第6週より出現し第8週の60.7%をピークに次第に減少し第14週以後は全く消失した.この二層構造の外層はdecidua parietalis内層はdecidua capsularisとchorion leaveの接着したものである.2.羊膜腔の大きさについて羊膜腔最大形は妊娠週数に比例して増加し,Y=0.707X-2.56 (r=0.849)の良い相関が得られた.3.羊膜腔の形態について.195例前例の羊膜腔の形態を2群4型に分類し検討した.I型(円形,楕円形)が55.4%を占め,羊膜腔形の基本形と思われる.残りの44.6%は胎盤の突起,子宮筋層内の器質的変化,及び膀胱過度充満等の因子によりII型(長蛇円形),(腎臓形)IV型(不正形)に変化したと考えられた.しかし何れも正常妊娠経過をとったことにより,これらの因子がよほど強くならない限り妊娠継続に対する影響は少ないと思われる.4.胎児像について妊娠第5週より出現し,以後出現頻度が増加し第11週以後では100%にその存在が判読できた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-04-01
著者
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