micro MLCに依る習慣性流産患者夫婦間の組織適合性抗原差の研究
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概要
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習慣性流産患者夫婦間の免疫学的機構を解明する一助として,新いいmicro MLCを用いて現在行われている判定法,即ち,cpm, index, %, Gradeの各々の値を比較検討し,夫の刺激力と妻の反応力の両面からこれを解析し,次の如き成績を得た. 1) micro MLCは従来のMLCに比べ,少量採血,簡単な手技,比較的安定した成績が得られ優れた検査法である. 2) 夫の刺激力の検討:妻に対する刺激力は,習慣性流産群では正常群に比べ明らかに強いことが判明したが,他人に対する刺激力には差がみられなかつた.また,正常群では妻に対すると同じ程度の刺激力を他人に対しても示すものが大部分であつたが,習慣性流産群では40%の夫が妻に対してのみ強い刺激力を示すことが判明した. 3) 妻の反応力の検討:夫からの刺激に対する反応は,習慣性流産群は正常群に比べ明らかに強いことが判明したが,他人からの刺激に対する反応に,差はみられなかつた.また,妻の反応力は刺激力の強弱に関係なくそれぞれ独自の反応力を示すものが多いことが判明したが,夫の刺激に対してのみ強く反応するものは正常群には5%,習慣性流産群には20%みられた. 4) 夫から妻への反応とその逆の妻から夫への反応の差より,習慣性流産に,夫の抗原に感作され,hyper sensitiveの状態にある妻の存在が示唆された. 5) 2 way MLCにおいても,習慣性流産群は正常群に比べ明らかに反応は強く,また,抗原差の大きい夫婦の多いことが判明した.以上のことより習慣性流産の中には,免疫学的反応が原因で流産に陥いるものがあることを統計学的分析に依りより詳細に検討した.
- 1977-07-01
著者
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