雌ラットにおける性成熟の機転,とくに視床下部LH-RH含量および下垂体LH分泌の動態に関する研究
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概要
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性成熟の機転を解明するためにradioimmunoassayにより性成熟過程での雌ラットの視床下部LHRH含量を測定し,同時に下垂体LH分泌についても検討した.また成熟雌の性周期での変化・去勢の効果・E_2負荷の影響についてもあわせて検討した. 1) 雌雄ラットの視床下部LH-RH含量は21日齢まではいずれも1ng以下の低値である.2) 雌雄ラットのいずれにおいても21〜28日齢の間で急速な視床下部LH-RH含量の増加がみられる.3) 28日齢以降において,雌では視床下部LH-RH含量の増加は停滞し,腟開口直前に再度著増をみる.雄では日齢の経過にしたがつて成熟値へと漸増する.4) 21日齢以前では血中LH・下垂体LH含量はいずれも雌が雄に較べて高い.5) 28日齢以降腟開口までは雌血中LHは低下するが下垂体LH含量は高い.6) 初回排卵の直前に視床下部LH-RH含量は著しく高まつたのち減少し,これに伴う下垂体LHの放出がみられる.7) 6の変化は成熟雌の性周期での排卵の前後と相同の内分泌変化である.8) 雄ラットでは性成熟に従つて視床下部LH-RH含量・下垂体LH含量・血中LH濃度の三者は平行して漸増し,雌の変化と異なる.9) 性ステロイドの欠落は視床下部LH-RH含量を低下させ,E_2は視床下部LH-RH含量を増加させる.この変化は血中LHの変化と鏡像的である.以上より雌ラットの性成熟過程には21〜28日齢と腟開口直前に著明な変化がみられ,それらは中枢・末梢の有機的関連により生み出されること,ことに視床下部LH-RHの変化が著しいことから中枢が性成熟のうえで大きな働きをもつことが明らかとなつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-07-01
著者
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