新生児における抗生物質の体液内濃度の測定とその臨床的意義について新生児における抗生物質の体液内濃度の測定とその臨床的意義について
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概要
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新生児, 未熟児に対する薬物療法, 特に化学療法の実施に当っては, この時期における抗生物質代謝の特異性を知ることが薬用量, 投与法の決定, 或いは副作用予防のため極めて重要である. 著者は従来行なわれている抗生物質の体液内濃度測定法を新生児に応用する可能性と改良法を基礎的に検討し, さらに抗生物質の体内動態と消長を究明する目的で研究を行った. 1. 現行の微量定量法につき Fujii-Grossmann 法 (重層法) の問題点を検討した結果, その阻止内境界の明瞭性を重視して, 検体の微量化と測定時間の短縮を利点とした薄層の試作 Disc (直径8mm, 厚さ0.25mm)を考案した. また培地作製時間の短縮と培養条件の均一化及び多数検体の同時検査を可能とするための木枠を試作応用し, 改良した Disc法に実用的価値のあることを実証した. 2. 抗生物質の血清蛋白結合による不活性化率を計算式であらわし, 試作 Disc による方法を中心に重層法, Cup法, 従来の Disc (直径8mm, 厚さ1.0mm)の4法を比較検討したところ, 各測定法により不活性化率が異なることを証明した. また試作 Disc では血清蛋白との結合が解離し易く, 抗生物質の血清蛋白結合による不活性化は可逆性であり, 特に低濃度の場合この現象が顕著であるという成績も得られた. 3. 抗生物質合剤を使用した場合, 各成分の体液内濃度を著者の改良した Thin layer chromatography による分離定量法によって測定したところ, 同じ配合比で投与された場合でも, 新生児血液及び尿, 臍帯血並びに実験動物(犬)の血液, 胆汁並びに各臓器における濃度は, いずれの合剤においても同一比率で体内に分布するものでなく, 各成分濃度の推移も体内の部位によって種々変化する成績を得, 合剤では各々の単剤投与の場合と全く異った体内動態を示すことが明らかにされた. 4. AB-PC を代表に各種の投与方法別の体液内濃度を測定し, これに基づいて抗生物質の新生児, 未熟児への適正投与方法及び投与量を指摘した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-11-01
著者
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