新生児のエネルギー代謝に関する実験的研究
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概要
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正常新生児を母乳, 高脂質粉乳, 高糖質粉乳で栄養し, 出生日を第1日としてその後第3, 5, 7日と経日的に体重, 呼吸商, 基礎代謝量を測定し,三栄養素燃焼率ならびに燃焼量を算定して各群の推移を比較した. 体重は高脂質粉乳群の第3, 7日においてそれぞれ第1, 5日よりやや現象を示すことがみられたが, 母乳,高糖質粉乳群では経日的に漸増の傾向を示す. 呼吸商の推移は母乳群では第3日に0.748と著明な低下を示し,高脂質,高糖質両粉乳群でも第1,3日にほぼ同様の低値を示す.第5, 7日は高糖質粉乳群では0.859, 0.870と,ほぼ同様の値を示す母乳,高脂質粉乳両群に比して有意に (0.01>P>0.001)高い値を示す.基礎代謝量は母乳群では第3日に人工栄養の2群に比して有意に低値を示し経日的にも低い値で推移するが,高脂質粉乳,高糖質粉乳両群ではほぼ相似た経日的推移であつて特に後者ではほぼ2.0 Cal/kg/hr と母乳群に比し有意に,3郡中最も高い代謝量で推移する.三栄養素燃焼率ならびに燃焼量に与える栄養法の差異による影響は母乳群では経日的推移において蛋白質燃焼率が小で第3日の脂質燃焼率が著明に高いが,人工栄養の両群では共に蛋白質の比率が大であり,第5, 7日に高脂質粉乳群では脂質の燃料比率が高く,高糖質粉乳群では糖質の比率が有意に高い.これらの成績は母乳群において生後早期のエネルギー源として蛋白質は節約され,糖質次いで脂質が効率よく利用されることを示し,これに反し人工栄養では第5, 7日にいたつて始めて含有栄養素の燃焼が高まるが,特に高糖質粉乳栄養法では資質の利用が著しく低下するのが特異である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-11-01
著者
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