血中 Progesterone 連続測定による黄体機能の観察
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概要
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黄体機能を知るためには, 血中 Progesterone を可及的, 連続的に測定してその指標とする事が最も有効な方法と考え, 従来の方法に比し, 比較的簡便で迅速に測定され, また高感度で被検血漿も少量で行える利点を有する Competitive protein binding assay を用い以下の成績を得た. (1) 正常月経周期4例の連続測定に於いては, 何れも B.B.T 低温最終日1〜2日前より僅かに上昇しはじめ, 排卵を境として漸増し, 排卵後5〜8日目にピークに達し以後漸減する. 卵胞期の平均は1.23±0.73mμg/ml (N-22), 黄体期の平均は10.42±6.90mμg/ml (N-38), 月経期の平均は1.53±0.47mμg/ml (N-16)であった. (2) 連続測定せる3名の婦人15検体及び, 随時測定せる35名の婦人, 計55検体の妊娠15週までの分泌値の変動を調べたところ, 約10週頃までは, ほぼ黄体期の上限に等しい値を示し, 12週頃より上昇傾向を認めた. (3) hMG-hCG療法を施行した延10周期に於いて Progesterone 分泌動態を検索し, B.B.T. よりみて, 排卵前と思われる時期に Progesterone は既に正常期のそれよりも高く, 排卵後も正常黄体期に比し高値を示すものが多く認められた. (4) 3例の婦人の黄体期にhCG 3000単位を3乃至5日間投与したところ, 個体の感受性に程度の差はあるが, 全体として Progesterone 産生の増加がみられ対象周期に比し何れも黄体期は数日延長した. (5) 3例の婦人の黄体期に19 norethisterone を投与し何れにも有意な Progesterone 産生の低下をみた. 尚, 初期に投与した1例に於いては黄体期の短縮がみられた. 更に2例の婦人について本剤を投与中及び投与直後にhCGを負荷した場合 Progesterone は再び上昇する事を認めた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-01-01