コルポミクロスコープ診による子宮腟部びらんの血管形態に関する研究
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概要
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子宮腟部びらんを認めた324例について, コルポミクロスコープを使用して観察し, これによる血管像を樹枝状型・網状型・係蹄型・糸球体型・ラセン状型・コルク栓抜状型及び中断型の7型に分類し, 併せ行なつた本法上皮所見・コルポスコープ診・細胞診及び組織診と比較検討して次の成績を得た. 1.25倍率でも特徴ある血管形態をある程度把握し得るが, 125倍率で観察補正することにより更に明確に分類し得る. 2. 本法血管像で樹枝状型・網状型・係蹄型及び糸球体型を示した281例中98%は本法による上皮所見でも良性像を示し, ラセン状型・コルク栓抜状型及び中断型を示した43例中80%には異常上皮像がみられた. 更に本法による異常の上皮並びに血管像のいずれかを示すもの (48例) の中には, 組織学的悪性病変がすべて (39例) 含まれていた. (悪性病変適中率81%, 偽陰性率0%) 3. 本法血管像と組織診との関係では, a. 樹枝状型・網状型・係蹄型及び糸球体型を示した281例中95%は正常扁平上皮並びに円栓上皮像にみられた. b. ラセン状型・コルク栓抜状型及び中断型を示した43例中84%は悪性病変にみられたが, このうち殊に後二者は高率 (92%) にみられた. c. 血管像のうち, a. に属するものは良性の血管形態と, b. に属するものは悪性の血管形態, 所謂異型血管と考えてよい. 4. コルポミクロ診, コルポ診及び細胞診の診断率の比較では, コルポミクロ診が優れ, 殊に血管像及び上皮像の両者を併用観察・判定するのが, 良性病変・悪性病変について最も診断率が高いことが分つた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-07-01