Competitive protein binding 法における妊娠時血中 corticoids 動態
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概要
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妊娠時母児双方での individual corticoids の動態に関する研究は必ずしも多くない. そこで著者は Murphy(1963)の開発した competitive protein binding analysis (以下C.P.B.A.) に若干の改良を加えて, それを用いて妊娠, 分娩, 産褥時の血漿中 cortisol (以下F), corticosterone (以下B), cortisone (以下E) 濃度を測定し, 妊娠時の corticoids (以下cds) 動態について検討し以下の如き成績を得た. 1. corticosteroid binding globulin (以下CBG)との結合能に関しては, acetylated corticoids は unconjugated corticoids とほぼ同様の結合能を有することを確認した. 2. F.B.E. の分離ならびに他のステロイドの除去に cds の acetyl 化と Merk 薄層クロマトの組合わせが最も適していることを認めた. 3. 正常妊娠時の末梢血中 cds 濃度は, 妊娠週数とともに漸増し, 妊娠末期では非妊時のそれぞれと比べてF濃度は約3倍, B濃度は約3.5倍, E濃度は約4倍の増加を示した. 4. 分娩直後の末梢血中 cds 濃度は陣痛発来とともに F.B.E. 3者共に急増し, 分娩直後にピークとなり非妊時の値と比べるとF濃度は約6倍, B濃度は約7倍, E濃度は約10倍の増加を示した. 5. 産褥時の末梢血中 cds 濃度は3者共に漸減し, 産褥第4日目にはほぼ非妊時の値を示した. 6. 臍帯動脈管血及び静脈管血中 cds 濃度F濃度は動脈管血9.1μg (平均値), 静脈管血6.4μg, B濃度は動脈管血3.4μg, 静脈管血2.7μg, E濃度は動脈管血9.5μg, 瀞脈管血6.8μg, すなわちF, E濃度は動脈管血でやや高値を示した. 7. 切迫流産例では同一時期の正常妊娠よりも F.B. ともにやや高値を示した. 8. 妊娠中毒症例では同一期のそれぞれの正常妊婦と比べると, 重症例では F.B. ともに高値を示し, 軽症例でやや高値を示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1972-07-01
著者
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