変性羊水と産科的低線維素原血症
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概要
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産科的低線維素原血症は子宮内の組織に変性を認める産科疾患に併発している.著者は変性した羊水と変性を認めたい正常の羊水との血液凝固学的差異を invitro 及び妊娠家兎と人による臨床実験によつて検索し, 次の結果を得た. 1.変性羊水と正常羊水の血液凝固学的差異を検討する目的で, 両羊水のCa再加凝固時間に及ぼす影響を検討した.変性羊水, 正常羊水共に血液凝固亢進作用を有していた.しかし正常羊水の凝固亢進作用は, 蛋白分解酵素阻害剤によっても阻害を受けないが, 変性羊水のそれは, 蛋白分解酵素阻害剤によつて阻害されることを知つた.即ち, 変性した羊水には凝固亢進能を有する protease が存在すると推論出来た.2.変性羊水は正常羊水に比し強い casein 分解能及び fibrin 分解能を有する.羊水の casein分解能と血中 casein 分解能を比較すると, 羊水は血中の約100倍以上の活性を有する.羊水が変性している場合には殊に著明であつた. Casein 分解能に対する阻害物質として羊水及び血液の α_1-antitrypsin を測定した処, 逆に血液の方が羊水に比し約5倍の α_1-antitrypsin が存在した.このことから羊水は血液に比し, 非常に強い蛋白分解能を持ち, 殊に変性した羊水ではこれが著明であることが判つた.羊水の蛋白分解能が亢進している子宮内胎児死亡の症例の子宮頚管にラミナリア稈を挿入すると, 血中蛋白分解能も亢進し, fibrinogen 量の低下が認められた.
- 1971-12-01
論文 | ランダム
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