妊娠個体における高脂肪食投与時の脂質代謝に関する実験的研究 (第1報)
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概要
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妊娠個体における脂質代謝の特有な変動は, 最近の生化学の急速な進歩と共に漸次解明されつつある. しかし本邦妊婦に対する適正な脂質投与量ならびに投与脂質の質的内容に関して未だ明確な解答が与えられていない. 著者は中毒症妊婦を含め本邦妊婦に対する脂質栄養のあり方の追求を主眼とし, 更には妊婦の脂質代謝像の解明への一端に資するために本実験を企図した. すなわち正常末期妊婦ならびに晩期妊娠中毒症妊婦に3日間標準食を投与し, 血清脂質分画量の変動を追求し次の結果を得た. 正常末期妊婦に脂肪60g, 90gの高脂肪食を投与した場合, EFA含有比率に関係なくエステルコレステリン, 燐脂質および中性脂肪の各脂質分画量の増加が認められたが, その程度は生理的限界の上限であるにすぎなかった. 晩期妊娠中毒症妊婦では標準食投与時において既に各血清脂質分画量の異常な増加があり, しかもその程度は正常末期妊婦に比しはるかに高かった. この場合脂肪60g, 90gの高脂肪食, を投与すると, EFA含有比率に関係なく各脂質分画量は著明に増加し, 脂肪60gEFA30%食以外の実験食では高度の脂血症を想わせる所見を得た.
- 1970-02-01
著者
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