銅塩排卵に関する研究とくに視床下部性排卵ホルモン放出因子に及ぼす影響について
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概要
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排卵機構に対する中枢神経系の調節の究明には多くの研究がなされているが, 銅イオンによる家兎排卵誘発は古くより試みられている. 更に近年視床下部-下垂体腺細胞間の調節を維持する神経体液性物質について化学的性質の解明もなされつゝある. 著者は in vivo に於て銅塩の視床下部排卵ホルモン放出因子に及ぼす影響について検討した. すなわち, 視床下部粗抽出液を下垂体内に注入してその濃度増加とともに排卵率も増加することを認め, 更に, 硫酸銅とともに抽出した視床下部粗抽出液の注入に於ては排卵率は視床下部単独よりも高率を示して濃度増加に伴って増加した. 硫酸銅静注後1時間以内の視床下部抽出液の注入群の排卵率が最も良く12時間後の抽出液注入では全例排卵しなかった. 視床下部神経線維切断実験に於ては視床下部前方部切断, および, 後方部切断では硫酸銅により, 高率の排卵がみられたが, 中央隆起部中部での切断では排卵率は低かった. 以上により視床下部中央隆起周辺に存在すると推定される排卵ホルモン放出因子に銅イオンが作用して排卵を誘発させるものと思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-02-01