尿中 Estriol, Pregnanediol および Karyopicnotic index を指標とする胎盤機能検査に関する研究
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概要
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胎盤機能検査は異常妊娠, 特に切迫流産, 妊娠中毒症における児の予後判定の資料, また子宮内胎児死亡との鑑別診断上重要である. この目的のため Estrogen (Eg), Progesteron (Pg) の尿中ホルモン(ホ)代謝産物の測定, また生体内 Eg, Pg 動態の反映としての腟細胞診がある. しかし両者の相関関係および臨床的に綜合検討した報告は少なく, 特に腟細胞診は簡易検査法であるが, 胎盤機能の指標としての意義については不明確な点が多い. 今回著者は尿中ホ代謝産物として Estriol (Et), Pregnanediol (Pd), 腟細胞診のうち Karyopicnotic index (KI) を選び, 正常妊婦における三者の数値, 変動状態を対象として, 異常妊婦における三者それぞれの特異的変化を捕え, また Et, Pd とKI の相関関係を観察し, 三者の胎盤機能検査法としての意義を検討した. 正常妊婦においては, 妊娠前半期では Pd, KI, 後半期で Et の変動が特異的である. 異常妊婦のうち切迫流産では連続測定により数値改善例の妊娠継続率は75.8%であり, Pd, KI が指標として適当であった. 妊娠中毒症では Et の78.1%が標準偏差外低値を示し, 児の生下時体重, 予後と平行関係があり, 未熟児出生は7.0mg以下, 周産期死亡は4.0mg以下である. 子宮内胎児死亡では3者共に異常値を示し, 無脳児妊娠例では Et のみ異常低値であり, 診断的意義を認める. Et, Pd とKIの相関関係は正常妊婦においてEt2.0mg, Pd18.0mg まで増量する間KIは減少し, その後はほぼ一定値を示す, また Et, Pd が減少する疾患においてKIは高値を示す. 以上のことから妊娠時のKIは Eg, Pg の拮抗関係のみではないように思われる. また妊娠後半期のKIがほぼ一定値を示すことは, 一定量以上の Eg, Pg に対しKIは飽和状態になるのではないかと考える. これ故, KIは後半期の指標として適当でない. また無脳児例のごとくPd正常ならばKIも正常であることは, KIに対して主役的変動を及ぼすのはPgであろうと推定する.
- 1970-02-01
著者
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