子宮頚癌治療患者の尿中下垂体性ゴナドト口ピンの動態に関する臨床的観察
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概要
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子宮頚癌患者に対する各種治療即ち岡林式広汎子宮全剔出術, Co^<60>放射線療法, 15MeV Betatron (以下15MeBと略す), 放射線療法などの各治療前後における尿中下垂体性Gonadotropin (以下Gと略す) の動態を測定した. まず正常月経周期婦人の尿中Gは月経周期に従って如何なる変動を示すかを追究すると, 排卵期に最高値を示し, 次いで月経期に高く, 卵胞期, 黄体期には大した変動なく, かつ卵胞期, 黄体期のG量には大した差は認められない. 次いで子宮頚癌患者のうち岡林式広汎子宮全剔出術を行なった患者の尿中Gの変動は術後3〜5日頃にピークを示し, 術前値の平均3.3倍の高値となり, 以後漸次減少してゆくが, 3週間を経てもなお術前値より高値であった. Co^<60>放射線療法では照射直後にピークを認めたが, 照射前値に比して平均1.8倍の値であり, 以後大した変動を示すことなく漸次減少してゆき, 放射療法開始後2週頃 (深部線量約1800〜2000Rの頃) に小さい増加を認めた. 15MeVB放射線療法では照射直後にはさしたる変動を示さず, 放射開始後2週頃 (深部線量約2000〜2200R) より増加し始め3週頃 (深部線量約2800〜3000R) にピークを認めた. ピークにおけるG値は照射前値に比して平均2.3倍であり, 以後大した減少を示さず, 放射開始後4週頃においても放射療法前値の平均2倍の高値を示した. 以上のようにB放射療法においては放射療法開始直後にGの変動を認めず, 深部線量約3000Rに達した頃にピークを示すことはCo^<60>放射療法及び子宮頚癌根治手術前後のG値の動態と著しく異なった結果を示すものであり, 15MeVBでは放射療法開始直後には容積線量の影響も他の放射療法に比し少ないため, 短期間に集中的な放射療法をすることも可能と考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-04-01