超音波断層法による子宮内胎盤体積の計測とその臨床的意義に関する研究
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概要
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超音波断層法により妊娠子宮内にある胎盤の形態観察法と体積計測法を考案して正常妊婦の妊娠各月においてこれを実施し,妊娠の経過に伴なうこれらの推移を明らかにするとともに,新生児の出生体重との関係について検討した.実験方法には,子宮の長軸方向に1cm間隔で胎盤をスキャンし,その断面像の面積をプラニメーターで計測するとともに,その形を厚さ1cmの板木にトレースして糸のこぎりで切りとり,この木片を重ね合せて子宮内胎盤の形を再構築する方法を用いた.その結果,(1)子宮内にある胎盤の形は,娩出後に観察されるものと異なっており,またおよそ3つの型に分類することができた.(2)正常妊娠における胎盤の体積はゆるやかなS字状のカーブをえがいて妊娠経過とともに増大した.(3)各妊娠月数毎に胎盤の平均体積及び3/2SDを求めた.断層法による胎盤体積は娩出後のその計測法より約4.4%大であった.(4)同一症例について4週間以上の間隔で胎盤体積を連続計測した結果いずれも上記の発育曲線に沿って増加していることが示された.(5)胎盤体積と胎児発育との関係を調べたところ,heavy fo rdates児およびlight for dates児とも,胎盤はほとんど正常体重児の標準値の範囲内に含まれていた.(6)胎盤の型と体積との間には特に関係は認められず,また各型の別と娩出後の重量,児体重との関係も見出せなかった.この方法は今後さらに胎児のagingや,胎盤付着部位との関係などの研究に応用される可能性がある.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-04-01
著者
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