晩期妊娠中毒症の線溶療法に関する研究家 : 兎を用いた妊娠時urokinase投与に関する基礎的検討
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概要
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晩期妊娠中毒症の病態が血液凝固学的に究明されるにしたがい,妊娠中毒症に対する線溶療法も注目され始めている.しかし妊娠時のurokinaseの投与方法については,いまだ明確化されていない.今回著者は,非妊および妊娠家兎を用いて,妊娠時のurokinase投与方法を検討した.投与方法は体重kgあたり2,500,5,000,10,000,20,000単位の急速静注法(A),半量急速静注後,半量持続による静注法(B)であり,以下の結果を得た.1)非妊,妊娠家兎両群とも次の点において同様の傾向を示した.(1)euglobulin clot lysis timeは2,500,5,000単位/kgでA法がB法より,10,000,20,000単位/kgでB法がA法より短縮率が大であった.(2)α_2 antiplasmin,plasminogenは2,500,5,000単位/kgでA法に減少傾向がみられ,20,O00単位/kgでB法がA法より減少した.(3)血清FDPは10,000,20,000単位/kgでA法に5分後,B法に120分後に増加のピークが認められた.2)非妊,妊娠家兎ではA法,B渋いずれにおいても血小板数,prothrombin time,activated partial thromboplastin time,fibrinogenはurokinase非投与家兎に比べ有意の変化を示さなかった.以上の結果より。妊娠時の血液に線溶活性を増強させるためには,非妊時とほぼ同量のurokinaseが必要であり,またurokinaseを大量に投与する場合にはB法がA法に比しその増強に有効であり,比較的少量の場合にはA法が有効であると思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1984-01-01