BIOCHEMICAL STUDIES ON COLLAGEN IN HUMAN PLACENTA -RELATION OF COLLAGEN TO THE CONSTRUCTION AND FUNCTION OF HUMAN PLACENTA-

概要

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ヒト胎盤組織におげるコラーゲンの特徴とその役割を究明するために,そのコラーゲンの量および生合成について生化学的,組織化学的に検討し,以下の結果を得た.Hydroxyproline量(μg/mg protein)は,正常妊娠例では初期7.2±1.1, 中期14.6±4.4,末期23.4士4.8であり,初期と中期(p<0.05),初期と末期(p<0.01)に有意差が認められた.また,妊娠週数とは有意な相関(γ=0.8753)を示した.異常妊娠例では,死産の1例と妊娠中毒症重症を合併したlight-for-date baby 例が正常例より有意な増加を示したが,その他の症例は正常例との間に差を認めなかった.血管のHydroxyproline量は,中期と末期とで差が認められなかった.Prolylhydroxylase活性(c.p.m./mg protein)は正常妊娠例において初期1048.2±174.0,中期381.2±76.7,末期277.9±103.7で,初期では中期および末期より有意に高い活性が認められた(p<0.01).一方,中期と末期相互間には差はなかった.異常妊娠例では,妊娠中毒症重症を合併したlight-for-date baby例で,正常例より有意に高い活性を認めた(p<0.01).以上のことより,ヒト胎盤組織におげるコラーゲンは妊娠経過に伴ない独自の動態をもち,支持組織の構成要素としてばかりでなく,胎盤の機能面にも何らかの関連性があることが示唆された.
1983-12-01