ヌードマウス移植人子宮頚癌を用いた放射線増感剤Misonidazoleの研究,特に核DNA動態のFlow-Microfluorometryによる解析
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概要
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Misonidazoleは放射線の増感剤として従来効果があるとされているが,1回の照射量が少たい場合は効果が乏しいとされている.このことは,人子宮頚癌の放射線療法は分割照射が普遍的であることより,Misonidazoleの併用による増感効果は期待しえないことになる.そこで,これらを知る目的で人子宮頚癌ヌードマウス移植株を用い,1回1000rad照射,均等分割照射:1回250rad 4回および不均等分割照射:1回250rad 4回に500rad 1回の線量域におけるFlow-MicrofluorometryによるDNA distributionおよび核面積,腫瘍増殖曲線の測定を行い,臨床上本剤が使用しうるかどうかの検討を行った.1000rad 1回照射で1mg/g.b.w.のMisonidazole併用群では,増殖曲線上増殖の抑制は明らかで,DNA distributionの上でも照射によるG_2-M期細胞の増加の抑制およびdebrisが長時問にわたって認められ,repopulationの遅れが示唆され,明らかな増感効果を認めたが,均等分割照射での1回0.25mg/g.b.w.(総投与量1mg/g.b.w.)のMisonidazole少量分割投与群では,上記変化は認められなかった.しかも照射による核腫大の抑制は少なかった.しかし,不均等分割照射での500rad照射時に1mg/g.b.w.のMisonidazoleを併用した群では,DNA distributionの変化,核腫大の抑制,増殖曲線の抑制は著明であり,本照射法での増感効果は期待しうるものと解釈された.以上より,均等分割照射とMisonidazoleの併用では,効果はほとんど認められないが,不均等分割照射の様に照射法,投与法を工夫することにより,臨床上Misonidazoleの効果は十分に期待されるものと思われる.
- 1983-12-01
著者
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