超音波計測による妊娠全期間における妊娠期間推定について
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概要
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妊娠各時期の妊娠期問不明瞭な妊婦に対する超音波計測による妊娠期間推定法について検討した.超音波計測のパラメータとして胎児骨格系から,CRL,BPD及びFFLを選んだ.正常最終月経に基づいた各パラメータの標準曲線を作成し,平均値曲線から各計測値による推定妊娠期問を求め,正常最終月経起算の妊娠期間との日数差を求め,日数差の少ない範囲を各パラメータの適用範囲とした.その結果,CRLは20〜80mm(約9〜13週),BPDは20〜70mm(約11〜26週),FFLは20〜55mm(約16〜30週)であり,この範囲内では,CRLを用いた場合,平均2.9日,BPDでは平均4.6日,FFLでは平均4,9日の誤差で妊娠期間を推定できる.CRL計測値から妊娠期間を推定し,これに基づいてBPD,FFLの標準曲線を作成した.最終月経に基づいた標準曲線に対し,±3/2SDで揚足される範囲が有意に狭くなった(p<O.001).この妊娠期問と計測値から,各計測値の平均妊娠期間と3/2SDの日数を求め,±3/2SDで規定される範囲を,推定妊娠期問の幅とし,パラメータ使用範囲を越えた場合の発育の個体差を考慮した妊娠期問推定法とした.推定妊娠期問の幅の検討では,妊娠末期に近づくほど,この範囲を越える例が増えたが,67〜100%の例がこの範囲内であり,以後の母児管理の指標として役立つと思われた.特に,早期娩出を行う場合,下限の週数が胎児成熟度と関連して重要とたる.以上のごとく,CRLは最良のパラメータであり,妊娠初期にCRL計測による妊娠期間を推定しておくことが望ましいが,CRLの適用範囲を越えた場合にはBPD又はFFLを用いて妊娠期問推定を行い,妊娠後期では妊娠期間の幅を推定する.また妊娠中期ではBPDを用い,FFLはBPD計測が不可能な場合と妊娠後期に用いるのが良いと思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-12-01
著者
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