Superfusionを用いた胎盤でのProstaglandin合成
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
分娩発来機構解明のため,時期別のヒト胎盤でのPG合成能を検討した.実験法としてsuperfusionの手技を用いた.1)陣痛未発来の胎盤:(1)対照例ではPGsの変動は著明ではなかった.(2)Arachidonic acid添加例では,PG E_1,PG E_2,PG F_2αともに経時的に漸次著増し,50〜60分分画で最高値を示した.PGs合成能は全実験例を通じて一番強力な時期である.(3)Oxytocin添加例でもPGsは増加を示し,特にPG E_2,PG F_2αにおいて著明であった.2)陣痛発来時の胎盤:(1)対照例では有意の変動は認められず,その変化は陣痛未発来の場合より更に少なかった.(2)Arachidonic acid添加例ではPG E_2,PG F_2αの増加が認められたが,この場合も陣痛未発来例に比較して,増加は少ない.PG E_1の変動はほとんどなかった.(3)Oxytocin添加例ではPG E_1,PG E_2は殆んど不変であったがPG F_2αは50〜60分分画で高値を示した.3)娩出胎盤:(1)対照例では有意の変動は認められず,(2)Arachidonic acid添加では軽度の漸増を認め,(3)Oxytocin添加例では有意の変動は認められたかった.以上より,陣痛開始前の胎盤ではPG合成能の高い酵素が存在し,分娩開始直前に強力な潜在能力を備えている.しかし胎盤中のPGs合成阻害因子の働きで陣痛誘発に至らない状態を保っていると考えられる.陣痛発来している胎盤ではPG合成能が低下しているということは一度始動した分娩はPGの強力な力は必要でないためと考えられる.分娩終了ずみの胎盤では,PG合成能は不必要のため低下してしまっていることを示した.PG Eの合成能が陣痛未発来の胎盤にのみ強力に認められたことは,加藤のいうPG Eが分娩発来の主役をなしているとの説を裏づけ,また,OxytocinがPG F_2α合成を高めることは,子宮体部に作用する収縮物質という同じ作用を持つ物質同志という点で興味深い.
- 1982-02-01
論文 | ランダム
- アクチビン受容体と情報伝達 (あゆみ アクチビン・フォリスタチン系)
- 血管新生における内皮増殖とその制御機構 (内皮細胞をさぐる)
- 血小板中に存在する成長因子
- X線のベルク・バーレット法について〔英文〕
- 電界電子放出と表面科学