重症妊娠中毒症の発症時期とICAM-1の血中濃度と胎盤への発現との関連
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概要
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目的:ICAM-1は, 接着分子のひとつでありextravillous trophoblastが脱落膜中血管への侵入に関与しているといわれている.我々は, 妊娠中毒症の発症時期についてICAM-1を指標とし母体, 臍帯血中濃度と胎盤を用いた免疫組織学的変化と妊娠中毒症の発症時期との関連性を検討した.方法:血中濃度;対象は非妊婦21例と妊婦16例(早産7例, 正期産9例), 早期発症型重症妊娠中毒症13例(以下, 早発型), 後期発症型重症妊娠中毒症8例(以下, 後発型).ICAM-1測定はELISA法を用いた.免疫染色法;胎盤採取の対象は, 早産9例, 正期産10例, 早発型9例と後発型8例である.胎盤ホルマリン固定後に抗ICAM-1抗体を用い免疫染色を行った.終末絨毛血管内皮細胞におけるICAM-1陽性細胞を血管200個について数え, ICAM-1の染色率を検討した.統計解析は分散分析後にFisher's PLSDを用いp<0.05を有意とした.成績:血中濃度;母体血中は早発型が177.6±15.6ng/ml, 後発型が176.8±19.6ng/mlであり有意差をみない.臍帯動脈は早発型が150.6±34.0ng/ml, 後発型が90.3±9.4ng/mlであり早発型が高値を示す.臍帯静脈は早発型が128.3±31.2ng/ml, 後発型が91.3±10.2ng/mlであり早発型が高値を示す.胎盤免疫染色法:絨毛血管染色率は, 早産が0.20±0.08%, 正期産が0.61±0.02%であり差を認めなかった.後発型が48.2±8.2%, 早発型が17.9±5.0%に比べ有意に高値である.結論:早発型と後発型の間に臍帯血中ICAM-1濃度と絨毛血管におけるICAM-1の発現差が明らかとなった.早発型と後発型の発症に対してICAM-1は異なる関わりと推測される.
- 2001-10-01
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