腹壁誘導胎児心電図1,400例の臨床的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
腹壁誘導胎児心電図を定期検査とし, 慶応義塾大学病院産婦人科ME外来を訪れた妊婦より次の結果を得た. 1) 1,400例中, 胎児棘波を認めたものは1,360例 (97.1%)である. 陰性群の検討を加えた誤診率は, 0.5%であった. 2) 陽性率と妊娠週数の関係は, 諸家の報告と同様, 双峰性を示したが, その谷は, 82.2〜84.6%と高値を示した. 早期診断例は, 妊娠15週の2例であった. 3) QRS振巾も, 陽性率と同様の傾向を示した. 4) QRS時間は, 妊娠週数と共に増加する傾向が認められた. 5) 胎児心拍数は, 妊娠週数が進むに従って, 減少したが, 今後尚検討を要する. 6) 低位横誘導による検出は, 切迫流早産及び妊娠末期に多く認められた. 7) 予定日超過群は, 胎盤機能不全症候群の有無により検討を加え, QRS振巾に有意の差を認めた. 8) 波型の類別を試み, qR型, Rs型, qRs型, RSR'型, RI型等臨床的に興味ある所見を得た. 9) 胎児不整脈は, 1,400例中8例に認め, 期外収縮が, ブロックよりも多く証明された. 早期証明例は, 期外収縮の妊娠23週であった. 10) この他に, 多胎, 羊水過多症, 胞状奇胎, 血液型不適合, 糖尿病, 想像妊娠, 無脳児等も記録した. また, 胎児頻脈についても述べた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1965-09-01
著者
関連論文
- クリニカルエンジニアリングに関する調査研究報告書(III)-1
- 新生児モニタ機器について
- 出生前に診断しペースメーカを装置,救命した先天性完全房室ブロックの2例
- MEによるアプローチ (胎児安全限界判定へのアプローチ : 分娩周辺期を中心として)
- 分娩前後の児不整脈
- 胎児心電図臨床応用への試み
- 分娩時に於ける胎児心電波型の変化 : 電子計算機応用の試み
- 腹壁誘導胎児心電図1,400例の臨床的研究
- MEによる胎児診断 (胎児障害)
- 超音波診断法最近の進歩 (産婦人科ME)
- 超音波ドップラー法による胎児生存性の診断的評価(ME)
- 胎児心拍数研究に対する棄却楕円応用の試み
- 75. 超音波ドップラー法による胎児生存性の診断的評価 : その2300例の胎児心電図との相関より (1 主題群 第8群 超音波診断Diagnostic ultrasoundの評価)