子宮頸癌, 特に^<60>COによる放射線治療におけるAlkaline及びAcid phosphataseの組織化学的研究
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概要
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Gomori, 高松によりPhosphataseの組織化学的研究が報告されて以来, 婦人科領域でも数多くの研究がなされているが, 子宮頚癌, 特に^<60>CO照射による活性の変動についての詳細な報告に乏しい. 著者は子宮頚癌患者及び非癌患者計61名を対象として, 癌組織特に^<60>CO照射後の癌組織と婦人科領域諸臓器とにおけるalkaline及びacid phosphatase(以下Al-ph, Ac-phと略す)の局在性を明らかにすると共に, 両酵素の正常組織に於ける組織学的分布と癌組織に於ける組織学的分布, 並びにその両者の関係, 及び^<60>CO照射による活性の変動を検索するためGomori氏改良金属塩法により本実験を行った, 成績は次の如くである。1. ^<60>CO治療群では2,000〜6,000r照射により, 癌細胞では, Al-phの染色性は大部分の症例では僅かに増強する. 扁平上皮に近い形を示す部分, 癌胞巣と間質との境界部, 変性癌細胞中比較的巨核多核な大型癌細胞に陽性を示す事が多い. Ac-phは染色性の増強する群, 減少する群, 増減しない群の三群に区別し得る. 又扁平上皮に近い形を示す部分, 比較的多核巨核の大型癌細胞等に陽性を示す事が多い. 両酵素共陽性部は原形質で, 全標本を通じ不規則不平等性の反応を示す. 間質では, Al-ph反応は細血管内膜には常に陽性, 結合織, 浸潤細胞, 硝子球の一部に陽性である. Ac-ph反応は殆んど陰性である. 癌細胞に於ける活性の変動は, ^<60>CO照射による細胞の微細構造の破壊が一因と考えられる. 2. 非^<60>CO照射癌では, 両酵素共に陰性より強陽性までの不規則多彩な染色性を示す. これは癌細胞の混乱した代謝の一端が組織化学的に観察されたものと推定される. 3. 子宮腟部・子宮内膜・卵管・卵巣等の正常組織では, 両酵素共文献に見られる所見にほぼ一致した規則的な活性分布を示した. 癌組織に於ける反応の不規則性と, 正常組織に於ける反応の規則性との差異は, 癌の補助的鑑別診断法として利用出来る.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1965-09-01
著者
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