婦人科手術侵襲の尿中下垂体性ゴナドトロピンに及ぼす影響に関する研究
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概要
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下垂体機能が侵襲により如何に反応するかについて, 尿中下垂体性Gonadotropinの動態を観察せんとした. 尿中Gの測定には幼若マウス子宮重量法による生物学的定量法とCrooke&Butt法の化学的定量法を併用して行なった. 化学的定量法は未だ研究の途上にあり, 幾多の疑義の存するところであるが, 著者は化学的定量法に於ける分画GA, GBについて夫々生物学的反応を実施して, 分画GAは臨床的意義を有することを確認した. 腟式子宮全摘除群7例, 子宮頚癌の明石術式による広汎性手術群7例について, 術後のGの変動を観察し, うち腟式群についてのみ血清ムコ蛋白量及び末梢血好酸球数の消長を観察し次の如き結果を得た. 1) Gの化学的定量法による分画GA及び生物学的定量法の値は平行関係にあった. 2) 腟式群, 広汎群共に術後著明なGの上昇がみられた. 腟式群に於いては術後最初の24時間でGの上昇はピークをなし, 術後5日目には既に術前値に復した. 広汎群に於いては術後急激に上昇したGは7月目までそのまゝ持続し, その後やゝ下降の傾向を示したが, 15日目に於いても尚術前値の約2倍の高値を示し, 又Gの術後の上昇度も腟式群に比して大であった. 3) 血清ムコ蛋白の変動は術後早期に反応を呈して動くが, Gの変動と有意の相関は示さなかった. 4) 末梢血好酸球数は術後早期に急減し, 以後術前値に復し, Gの変動と対称的であった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1965-01-01
著者
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