妊娠, 分娩, 産褥時の末梢血及び骨髄の血液像の変化について
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概要
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昭和37年8月より半年に亘り, 非妊, 妊娠, 分娩, 産褥の各期間について延約500検体の末梢血液像及び, 妊娠末期, 分娩時の10例の骨髄像及び赤芽球のSideroblastの検索を行い, 妊娠, 分娩, 産褥期間の妊娠貧血, 白血球増加, 血小板数の変動の実態を観察した. 妊娠期間中の赤血球数は妊娠VIIヵ月で最低値358.6×10^4/mm^3となり, 血色素量は妊娠VIIIヵ月で最低値72.1%となって, 最高発現時には妊婦の約半数に所謂妊娠貧血を認めた. 妊娠時の血小板数はほぼ正常値であった. 妊娠時の白血球増加は妊娠IVヵ月頃より発現して, 妊娠VIIIヵ月で最高値11,869/mm^3となり, 妊娠中期以後で10,000/mm^3を稍々上廻る程度であった. 最高発現時には妊婦の約2/3に白血球増加を認め, その白血球増加は好中球の増加であり, リンパ球は増加に関与せず, 好酸球は減少を認めた. 分娩時の白血球の増加は後産娩出血直後で約19,000/mm^3であり, 著増が認められた. 妊娠, 分娩時の骨髄像は後骨髄球の著明な増加, 好塩基性正赤芽球の著増及び好酸性正赤芽球の著減を示しており, 白血球系及び赤血球系の骨髄機能亢進像を呈していた. 赤芽球のSideroblastは減少し, 鉄欠乏性貧血の像と一致していた. 以上の所見より所謂妊娠貧血は鉄欠乏性貧血であり, この鉄欠乏は胎児の鉄摂取により発現したものと思われる. 又白血球増加は妊娠中では骨髄機能亢進によるものと考えられ, 分娩時では臓器内血管中の白血球動員が主体であって, これに骨髄機能亢進, 骨髄中の貯臓白血球の動員も関与していると考えられる.
- 1964-06-01
論文 | ランダム
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