子宮筋Actomyosinの酵素活性に関する研究
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概要
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子宮筋収縮に対するActomyosinの酵素作用を解明する目的をもって, 成熟非妊, 妊娠各期, 分娩時及び産褥期, 実験的条件 (去勢, estrogen, progesteroneの投与) に於けるラット子宮筋よりSzent-Gyorgyi法により抽出した粗AM及び精製AMについて, その酵素活性度及び活性度に対する無機イオンの影響を検討した. 1) 粗AM-ATPase活性度は妊娠全時期を通じて低値を示すが, 分娩直前, 分娩時及び産褥0日目では高値を示した. 2) 妊娠時に抽出した子宮筋粗AM-ATPaseに対しては, Mg^<++>, Ca^<++>, Zu^<++>, Cu^<++>は全く無影響であるが, 非妊, 分娩直前, 分娩時及び産褥0日目に抽出した子宮筋粗AM-ATPaseに対してはMg^<++>, Ca^<++>は賦活作用を示した. 3) 成熟非妊,妊娠各期ラットを去勢することにより, 子宮筋粗AM-ATPase活性度の上昇を示した. 非妊時のものでは無機イオンの賦活作用が失われたが, 妊娠時のものではMg^<++>, Ca^<++>は賦活作用が認められた. 4) estrogenは全時期の子宮筋粗AM-ATPaseの活性度を上昇させ, 且つMg^<++>, Ca^<++>の賦活作用を促進した. 5) progesteroneは子宮筋粗AM-ATPaseの活性度の下降を来し, 且つMg^<++>, Ca^<++>は賦活作用を示さなかった. 6) Szent-Gyorgyi法で酵素を精製すると, すべての場合に於いて粗製酵素の場合と異り, Mg^<++>, Ca^<++>, Zn^<++>は賦活作用を示し, Cu^<++>は阻害作用を示した. 従って子宮筋AM自体には変化があるのではなくて, その存在する体液性の環境によって, 酵素活性度の変動が在るものの如くである.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1964-12-01
著者
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