新生児における腹圧亢進時の呼吸循環系に対する実験的ならびに臨床的研究
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概要
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新生児における内臓脱出症, ならびにその他の急速に腹圧上昇を来すような手術侵襲は呼吸循環系に対する影響は大であると考えられる。特に新生児における胸廓の構造は成人と異なり, 前後径と左右径はほとんど同長で肋骨の走行は水平に近く, 上部ではやや上方に向っている。また, 呼吸筋も未発達である故に, 吸気時においても, 肋骨挙上は起らず胸廓の拡大は極めて少なく, 胸廓運動による肺容積の変化も極めて少ない。したがって呼吸は主として横隔膜により行なわれる。またこれら種々の理由から, 呼吸運動は容易にさまたげられる。特に内臓脱出症の手術においては, 脱出臓器の腹腔内整復により, 急激なる横隔膜挙上, 静脈系の圧迫等により, 呼吸運動制限, 静脈還流障害によるCyanosis, 下半身の静脈怒張や呼吸循環障害等が考えられる。このような症例に対しては, できるかぎり上述せる危険を避けるため"Two stage Operation"(Ladd, Gross)を行うかあるいは, 保存的療法(Grob)を行ったり, Schuster等のteflon mesh使用による方法や, 側腹部えの皮膚減張切開術を併合したり, 時には部分的肝切除摘脾術等を合せて行なっている。横隔膜ヘルニアの整復術の際の腹圧上昇に対しても, 腹部の過度緊張を来すような場合には, 2次的に手術を行ない, 急速な腹圧上昇をさけることがのぞましいとされている。しかしながら, どの程度の腹圧上昇で呼吸循環系にどの程度の障害を起すものか, 明確な文献は比較的少ない。著者は, 実験的に腹圧上昇を起こさしめて, その呼吸循環面について観察し, 未稍静脈圧をもって, その程度を推察する指針と考え検討を行なった。
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