分娩時におけるフィブリン体分解産物(FDP)の動態に関する研究 : とくに胎盤剥離との関連性
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概要
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分娩時子宮-胎盤間に産生される局所的な線溶亢進の証明と分娩時の出血に関する線溶の病的意義についての検討のため線溶亢進の結果生ずるフィブリン体分解産物(FDP)についてHIT法を用いて測定した. 1) 正常妊娠48例についての血中FDP値は妊娠6ヵ月以降から末期にかけて増量する.2) 正常分娩時のFDP値は母体血では89%の増量を示したが,〓帯血値でも42%と増量をみた.3) 正常分娩14例,帝王切開分娩13例についての胎盤娩出前後のFDP値は胎盤娩出後の方が増量傾向にあるが,ことに子宮静脈血値に明瞭であつた.その際のFDP分画定量では胎盤娩出前にはX+Y分画が現われ,胎盤娩出後にはD分画が増量してみられた.また胎盤基底板上にfibrin-film法により組織学的な線溶活性域を認めた.このことからFDPの産生部位が子宮-胎盤間にあることが推定された.4) 次に胎盤早剥や胞状奇胎例にFDPの増量を見出した.そして破奇患者血のFDP分画定量ではD分両を多く検出した.5) 梗塞,血栓,辺縁出血,絨毛膜外性胎盤などの胎盤異常所見例にFDP増量がみられ,ことに母体血と〓帯血とのFDP値は相関関係にあることを知つた.以上から分娩時のFDPの増量は子宮-胎盤間の線溶活性亢進の産物であり,同時に胎盤剥離と密接な関連があることが証明された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-02-01
著者
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