細胞の増殖と分化に関連した Ribosome の性格変化 -子宮, 絨毛および肝組織を用いた実験的観察-
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概要
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本研究は, 産婦人科領域において, 生化学的にあるいは内分泌学的に明らかとされてきた子宮内膜, 胎盤, 胎児の時期的な機能変化を基とし, それぞれの組織における ribosome の性格を, ことに細胞内での存在様式の面から検討を加えたものである. 1) 子宮内膜を用いた実験において estrogen 投与により増殖期を形成したとき ribosome はしょ糖密度勾配法により分画した "light microsome" 分画に多く分布し, progesterone 投与による分泌機能発現時には "heavy microsome" 分画に分布するものが著明に増加した. 2) 胎仔肝においては "light microsome" が多く, "heavy microsome" は少なかったが, 出生後8日目にはその量的比率は逆転し, 18日目には成熟肝と同様の pattern となった. 3) 人胎盤においては, 妊娠初期より末期にかけて遂次的に ribosome の性格変化が認められ, 初期に多い "light microsome" は末期になると減少し, 逆に "heavy microsome" が増加した. その変化は, 各時期における絨毛細胞の廻旋培養下における aggregate 形成の態度と密接な関連を示した. 4) 電子顕微鏡的に観察された "light microsome" は, 比較的小さな膜様構造と遊離 ribosome によって占められ, "heavy microsome" は比較的大型の膜構造に多くの ribosome が付着した像として認められた. 5) 無細胞系による蛋白合成を検討した結果, "light microsome" 分画に分布する ribosome は, "heavy microsome" 分画に分布するそれよりも一定量あたりの蛋白合成能が高いことを認めた. 6) 用いた子宮組織, 肝組織, 胎盤組織のそれぞれに共通して, 細胞の増殖と分化の時期に ribosome の性格が著明に変動することを認めた.
- 1974-05-01
著者
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