視床下部のシナプス構成に関する電子顕微鏡的研究
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概要
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家兎の視床下部のシナプス構成について内側核群と外側視床下野を対比しつつ電子顕微鏡で観察した. 特にシナプス末端における小胞の形状, 大きさ(直径)について観察し以下のような所見を得た. 1) 視床下部室傍核, 視索上核の細胞間およびこれらの核より下垂体後葉への下行路では神経分泌顆粒を含む小胞が軸索又は軸索末端に存在し, 前シナプス嚢では500A^^°内外の spherical synaptic vesicles と混在してシナプスを形成していることがある. 又, 中間型含粒小胞と混在し, Neurosecretory-Adrenergic Endings と云うべきシナプスを形成していることがある. 2) 視床下部の内側核群の軸索末端に於て, 200〜450A^^°直径の小胞と500〜700A^^°直径の小胞の二種類のシナプス小胞が区別され, このうち500〜700A^^°直径の小胞を含む未端は Cholinergic Ending と考える. 3) 700〜1200A^^°直径の中間型含粒小胞がシナプス小胞と混在してシナプス末端に存在し, この中間型含粒小胞は内側核の細胞間に多数存在する. 外側核, 第三脳室上衣下層にも見られるがその数は少い. このようなシナプス末端における含粒小胞は Catecholamine 含粒小胞と解釈され, 従つて Adrenergic Ending と考える. 4) シナプス小胞の中に flat type synaptic vesicles 又は ellipsoid vesicle が観察されこのような小胞を含む末端は内側核群に比し外側核に圧倒的に多い. 又, spherical と flat の両方の小胞を混在したシナプス末端も観察され, 更に中間型含粒小胞の混在するシナプス末端も見られる. この様な flat type synaptic vesicles を含む末端は視床下部へ他の脳部より到着した抑制型線維の末端を観察したものと考えられる. 5) 腹内側核の細胞間では特に1200〜2500A^^°直径の大含粒小胞が観察され, 灰白隆起や弓状核で報告されている顆粒と比較して Gonadtropin-Releasing Factor を含む顆粒と考えられる. 6) 視床下部外側核のシナプス末端にしばしば coated vesicles がシナプス小胞や中間型含粒小胞と混在して観察された. 又, neurotubuls や滑面小胞体の断端が観察されシナプス末端での小胞形成を示唆する所見を得た. 以上の所見より視床下部における, Cholinergic, Adrenergic Ending, および内分泌背景に対する小胞形成について, 更に内側核群と外側核の対比, 差異について考察を試みた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-02-01
著者
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