陣痛の制御とそれに伴う母児への影響に関する研究
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概要
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妊娠39週以後で陣痛が自然発来して入院した産婦100名を各々 (1) isoxsuprine (以下 isox. と略) 点滴静注群 (2.5mg/hr, 4時間), (2) isox. 点滴静注群 (11.25mg/hr, 4時間), (3) 塩酸 chlorpromazine (以下 ch. p. と略) 筋注群, (4) 塩酸 pethidine (以下 peth. と略) 100mg静注群, (5) 無処置対照群の五群, 各々20名にわけ, 投与前後4時間にわたる陣痛内計測値, Friedman 分娩曲線, 母体血圧, 母児心搏数等を連続測定し, 又分娩時母児動脈血呼吸ガス値, 出血量等を測定した. 又帝王切開時妊娠末期子宮筋を採取して in vitro 実験を行なつた. その結果, (1) まず in vitro では isox. と peth. では 5×10^<-5>g/ml, ch. p. では10^<-5>g/ml 以上の濃度にならねば子宮筋収縮を抑制出来ず, 又 isox. ではまず収縮時間が, ch. p. 及び peth. ではまず強さが減少して次第に子宮収縮の抑制がおこる事を見出した. (2) 次に臨床研究においては isox. の11.25mg/hr の静注は, まず陣痛周期が, ついで子宮内圧が減弱し, Montevideo 単位 (以下 M.U. と略) は著明に減少する. 薬剤効果の個体差は大きい. (3) ch. p. 投与群では陣痛周期や発作時間はほとんど変らないが, 子宮内圧が減少して M.U. が漸減した. (4) peth. 投与群では子宮内圧は次第に減少して, 陣痛周期は延長し, 発作時間は短縮したが, 前の二者程著明ではなかつた. (5) 薬剤投与で母児には何の副作用をも認めず, 陣痛抑制群に児の oxygenation はかえつて亢進した. しかし peth. 投与群では児に軽い呼吸性アシドーシスを見た. (6) 以上の薬剤はいずれも陣痛抑制効果がみられたが, 子宮口開大度が 3.5cm以下, 児頭の Station が-3以前のものでは特に著明であつた. 又各群共母体に和痛効果が認められた. (7) 陣痛の制御の臨床的意義は今後正しく評価されてゆくべきものと考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-08-01
著者
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