羊水吸光度分析による胎児状態の検討
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概要
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近時, Liley (1961) によりRh不適合妊娠の出生前胎児状態の診断に羊水の吸光度分析の応用が提唱されて以来, 多くの追試者により羊水中ビリルビンと胎児状態との間に強い相関が認めらている. 著者はRh不適合のみならず, 正常妊娠, 異常妊娠 (妊娠中毒症, 羊水過多症) について羊水を採取し, その吸光度分析を施行し, 以下の結論を得た. 1) 正常妊娠に於いて450mμに於けるO.D.D.は妊娠37週以後, および生下時体重2,501g以上のものでは0もしくはそれに近い値を示した. 2) Rh不適合妊娠に於いて, 450mμ附近に高いピークを認めた. この高さと児予後との間に強い相関がみられた. 3) 妊娠中毒症に於いて, 450mμに於けるO.D.D.は正常妊娠同期のものに比較して高い値を示した. その中でも子宮内胎児発育の比較的障害されたものではより高い値を示した. 4) 羊水過多症の羊水分析により, 無脳児3例, 脳水腫1例に450mμにピークを認めた. 併し, 羊水過多症を合併していて胎児奇型を伴なわなかつた例では, 羊水吸光度曲線で正常妊娠との間に差はみられなかつた. 5) 妊娠中毒症等で, 胎児切迫仮死の予想されるものの中, 略410mμにピークを示すものがある. これは胎糞によるピークと思われ, それらの中に児予後の悪いものがみられた. 6) 子宮内胎児死亡例では, 胎児死亡後の羊水分析で胎糞汚染によると思われる高い410mμのピークがみられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1972-10-01
著者
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