子宮頚癌照射療法時の腟内剥脱扁平上皮各細胞の細胞質と核の比率の推移
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概要
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女子***癌のCo^<60>およびRa照射の際の剥脱腟扁平上皮細胞の反応を知る目前で, 剥脱細胞学的方法により子宮頚癌息者 (第2期以降の被検者25名, 塗抹標本50枚) の剥脱腟扁平上皮細胞4,770個を形態学的に4型に分け, かつ, 細胞の性質によって4種類に分類した. 細胞の変化はその膨化な指標として夫々の細胞の細胞質直径, 核直径及びそれらの直径より得た核細胞質直径比 (NCDR) を求め, 照射量と各細胞の推移を観察して, 次の如き結果を得た. 1) 悪性細胞は深層の細胞程, また非悪性細胞は表層の細胞程多く, 照射量の増大によって非悪性細胞は増加するが, 依然として悪性基準を有する細胞は残存しうる. 2) 細胞の膨化は15,000R照射量までのものが最も著しく, それ以上の照射量では細胞の変化の程度がむしろ減少する傾向にある. 3) 細胞質およびNCDRの変化は細胞の型によって, また, 核の変化は細胞の種類によって大凡一定しており, 悪性細胞の細胞質直径は同じ型の内で最も小さく, 核直径では非悪性細胞が12μを越えることは少ないが, 悪性細胞の核では常に12μを越え, 同じ型の細胞の内で最も大きい. 4) 細胞質の標本標準偏差は表層の細胞程大きいが, 核およびNCDRのそれは悪性細胞および深層の細胞程大きい. 5) 放射線治療学的にみると, 癌組織には放射線に対する反応の異なる細胞が含まれており, また, 細胞も細胞質と核とでは反応に差が見られ, 癌細胞, 放射線に対する生体反応ならびに放射線学的諸問題の解決が望まれ, 今後の研究に期待する.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-09-01