無脳児の内分泌学的研究 : 下垂体・副腎の形態並びに組織化学を中心として
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概要
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Frandsen & Stakemann (1961)以来, 無脳児妊娠は胎児胎盤系におけるestrogen(Eと略)生成の機構とその機序を解明するための至適の環境として注目されている. 著者は, 無脳児13例の下垂体と副腎皮質とをそれぞれ組織発生並びに組織化学的に検索し, 更にそのうちの5例において母体の尿中各steroidsを測定し, これらの3者を総合して追求し次の成績を得た. まず, これらの下垂体において前葉組織はその全例に認められたが, そのいずれにおいても圧迫萎縮の傾向が著明であった. 胎生9〜10ヵ月においては, 前葉のα細胞は約4%, β細胞は約16%, γ細胞は約80%であり, α細胞の減少が著しい. 副腎皮質永久層では正常胎児との相違を認め難かったが, 胎生層は著明に萎縮していた. 母体尿中estrone (Eoと略), estradiol (Edと略), estriol (Etと略) 量はそれぞれ103.3μg124h, 101.1μg/24h, 1.25mg/24hであり, 3分画とも低下し, 特にEtで著明である. また, Pregnanediol (Pdと略) 量は15.4mg/24h, 17-KS量は7.0mg/24h, 17-OHCS量は4.7mg/24hであり, 正常妊婦の10ヵ月量とほゞ同一値を示した. 従って, 無脳児妊娠例の母体の尿中E量の低下については, 下垂体α細胞の減少に基づく副腎皮質胎生層の萎縮により, 胎盤でEoとEdとにaroma-tizationされるdehydroepiandrosterone(DHAと略)産生の減少が減少するものと思われる.
- 1968-06-01
著者
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