心疾患妊婦の心肺機能に関する臨床的研究
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概要
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心疾患妊婦の妊娠, 分娩, 産褥各期にわたる静止時及び運動免荷時における心肺機能の推移をスパイロメトリーを中心として追求すると共に, 酸素摂取量回復率, 心拍回復率を心予備力の指標として心疾患妊婦の予後の判定について検討し以下の成績を得た. 1) 軽症心疾患妊婦では妊娠週数の進むに従い酸素摂取量, 分時換気量の増加, 最大分時換気量減少の傾向を認めたが換気機能の上でも又酸素摂取の面からみても代償機能は良く維持されている. 2) 児娩出時酸素摂取量は妊娠12週に比し軽症心疾患妊婦は147%, 健康妊婦は162%増加し, 分娩時に於て両者はほゞ同じ経過を示した. 3) 児娩出後, 酸素摂取量, 分時換気量は急速に減少し約20分以内に児娩出前40〜60分の値に回復し, 分娩時最大仕事の持続は極めて短い. 4) 階段昇降法による運動負荷試験に於ける酸素摂取量回復率と心拍回復率の2つを指標として心疾患妊婦の予後を判定すると, 非妊時或いは妊娠初期に於て酸素摂取量回復率, 心拍回復率が50%以上, 妊娠中期〜後期ではそれぞれが30%以上であれば妊娠の影響により心不全をおこすことはなく, 一定の摂生を守るならば十分正常分娩を行ない得ると考える. 5) これらの成績から心疾患妊婦の心予備能に関する安全限界, 妊娠分娩の可否に関する基準を設定した.
- 1968-05-01
著者
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