本邦妊婦のケトン体代謝に関する実験的研究 (第1報)
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概要
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妊娠時に起こる特異的な母体代謝像の変動として古くから血中脂質量, 血中ケトン体量, 尿中ケトン体量の増加等が指摘されてきた. その成因については妊娠個体の肝機能障害に基づく脂質利用障害が原因であるとする説が従来専ら唱えられてきたが, 現今ではこれに対して多くの反証があげられてきており, その成因の実相は未だに解明されていない. 著者は妊婦に脂質を負荷した場合の母体静脈血血清総脂酸, 母体静脈血, 尿中排泄ケトン体量および済帯静脈血, 絨毛組織中ケトン体量の変動を追求し, 母体並びに胎児の相関において脂質代謝像の実態の一端を検討した. 正常非妊婦を対照とし, 正常妊婦は妊娠初期 (2〜4ヵ月), 妊娠中期 (5〜7ヵ月), 妊娠末期 (8〜10ヵ月) の3群に分けて検討した. 第1報においては母体静脈血血清総脂酸の成績について報告する. 1) 標準食摂取時母体静脈血血清総脂酸量は中期, 特に末期に増量している. 2) 脂肪乳剤を経静脈的に負荷した場合, 各群とも増量, 負荷直後に peakを示し, この peak時における増加率は非妊時に最大, 初期, 末期, 中期の順に小となる. 3) 一定期間高脂肪食を摂取せしめた後再度脂肪乳剤を負荷した場合, 妊娠時においては血清総脂酸増加率は著しく減少する.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-02-01
著者
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