絨毛性腫瘍の内分泌環境
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概要
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絨毛性腫瘍患者の各種蛋白質ホルモン・ステロイドホルモン及び甲状腺機能を測定することにより, 絨毛性腫瘍の内分泌環境を追求した. 1)HCG分泌量は胞状奇胎に高く, 絨毛上皮腫及び破壊性奇胎では胞状奇胎に比して低値を示した. 又絨毛上皮腫については, 妊娠時の変動に較べるとHCG値が広い範囲に分布した. 2)絨腫瘍と妊娠についてHCGの性状を免疫活性Iと生物活性Bの面より検討し, 両者の間にr=0.65の相関々係を認めた. 又症例別にB/I比を比較すると, いずれも1〜2の間にあり著しい差異は認められなかつた. 又生物学的測定法による検討の結果, 絨腫瘍患者尿中HCG2000iu中のFSH生物学的活性は5iu以下と少量であつた. 3)絨腫瘍患者及び妊婦について, 尿中FSH活性をRIAによつて測定した所FSH活性は20iu/day以下の比較的低値であつた. また100iu以上の値を認めたものは卵巣剔除例であり, 排卵時における測定値であつた. 以上の結果, 絨毛性腫瘍の尿中FSH活性は一般に低値を示しHCGの量的変動はLH様活性の変動と理解してよいことが示唆された. 4)絨腫及び破奇のPregnandiol, Estrogen値は胞奇に比べて低値を示した. 5)転移の増強と共にHCG産生増量がみられたが, それと共に尿中pregnandiol, estrogenの増加が認められた. しかし妊娠時に比較すると著明な増加ではなかつた. この事実によつて絨腫組織に於てもprogesterone, estrogenの産生が行われることを推定せしめた. 6)17-KS値は巨大なLutein cysteを保有する一例以外は, ほゞ正常範囲にあり, 17-OHCS値も略正常範囲に分布した. 7)甲状腺機能はI^<131> T_3-Resin sponge uptakeで妊娠及び胞奇で正常より低値を, 絨腫及び破奇では正常値を示した. 血中TSHも異常高値を示すものを認めず, 基礎代謝率・血清コレステロール値も正常範囲にあつた.
- 1971-05-01
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